今日のニュースに、紙おむつを粉砕して下水道に流して
処理する実験を、国交省が始めるとの記事がありました。

 私も、介護が必要な母のために、尿もれパッドや
紙パンツを買っています。これのおかげで、
母も安心して暮らせるし、介護も楽になるので、
使わないという選択は難しいのが現状。

 でも、だからといって、これを粉砕して
下水に流していいかと聞かれたら、
ダメとしか答えられません。

 大手メーカーの紙おむつの成分を見ると、
表面サラサラの表面シートも、外に漏らさない防水シートも、
素材の多くは植物繊維(パルプ)由来の紙ではなく、
ポリオレフィンやポリウレタンなどの
石油由来の化学繊維です。
 そして、吸水のメインとなる高分子吸水材も、
吸収性ポリマー、高吸水性樹脂、高分子吸収体と呼ばれる、
ポリアクリル酸ナトリウムという合成樹脂です。

 つまり、これらを粉砕して下水に流すことは、
下水の生物分解と沈殿の過程では取り除ききれない
微細なプラスチック片(マイクロプラスチック)を、
下水中に大量に投入することを意味しています。

 ちなみに、東京都の下水処理の解説を見ると、
主に沈殿と生物分解により汚れを取り除き、
上澄みを塩素消毒して川から海に流す仕組みのようです。
生物によって分解されず浮遊するマイクロプラスチックは
全て除去できるのでしょうか?

砂濾過や生物膜濾過は、現在導入を進めているとあります。

 でも、マイクロプラスチックまで濾過できるほど
目の細かい濾過材を用いて、膨らんだ吸水性ポリマーを
効率的に濾過するのは、難しいだろうな〜と思うのですが、
どうなのでしょう??

 下水処理施設が十分に機能するとしても、
粉砕機が一般に広く普及すれば、
下水道が十分に整備されてない地域や、
下水道に接続していない家庭でも、
取り付けられるかもしれない。
さらに、ゴミ捨てが面倒な人は、
何でもかんでも粉砕して流すようになるかも…。

 使い終わったオムツの処理が大変なのは、わかります。
でも、企業の代わりに国が簡単便利を追求して、
プラスチック片を川から海に流すのはおかしな話。
簡単・安全に分別・処理ができる画期的な新製品を
企業が開発できるよう、国がサポートするなら
いいけれど。

 環境問題についての議論が進んだ現在では、
「ゴミ処理は全て買った人の責任」というのは、
なんだか時代遅れの感じがします。
企業も、製品の最終処分まで見越した製品を作れないと、
生き残っていけないのではないでしょうか。