『驚きの菌類ワールド 菌類の知られざる世界』日本菌学会編(2017)を、
いただきました。

 美しい写真と、わかりやすくやさしい文章で、カビやキノコの面白い暮らしを紹介。
「まえがき」にもあるように、「菌類の魅力を発見していただきたい」という、
研究者の方々の思いが伝わってきます。

 目につきにくい所で暮らしている菌類も、拡大して、じっくり観察すると、
結構きれいで、おもしろい! 普段は意識しないけれど、菌類には、
私たちが生きる上で常にお世話になってることもわかります。

 これはコウジカビ。Aspergillus oryzae。いわゆる、もやしもんで有名な A. オリゼー。
味噌や醤油、お酒など、毎日お世話になってます。
A. オリゼーのほかに、泡盛や黒麹のカビも紹介されてます。

 こちらは、ウドンコカビの仲間。葉っぱに白いうどん粉が付いたように見えるカビですが、
これを見ると、カビの方がうどんみたい。これは南半球の種だけど、
日本産はコイルの部分がたおやかで女性的…。そう言われれば、たしかにそう。
一方で、熱帯のタイ産の種類はヌーディー! たしかに開放的な写真。

 

 左側の写真のような、有名な光るキノコの紹介もありますし、
普段我々が見ることができない、海の中を漂う菌類の写真もあります。
海の中を漂う生き物は、みんな形態的に浮遊適応して収斂するんだな〜と妙に納得。

 大学や博物館、研究所などの専門の菌類研究者によってつくられた本ですが、
堅苦しくなく、デザインもすっきりしていて、とっても読みやすいです。
今までの学術書籍?に普通にあった、謝辞やあとがきがないのも、
一般向けを一層際立てている感じ。
もちろん、それぞれのキノコについてさらに詳しい話が知りたければ、
後ろに付けられた参考文献をたどって行くこともできます。

 キノコやカビの暮らしやすい沖縄では、いろんなのがいるんだろうな〜と
ちょっとワクワク。夏休みの自由研究で、いろんなキノコやカビを
集めてみるのも楽しいかな〜と、思わせてくれる本でした。

 おすすめです。